- 歯周治療
- Periodontal Treatment
歯周病は、歯周病菌の感染によって生じます。
感染した歯の周囲の歯肉の炎症や歯を支えている歯槽骨が溶けて、末期には歯が抜けることもあります。
歯周病は、
プラークと呼ばれる汚れが、歯と歯茎の境界部分に溜まることで、
細菌が毒素を生成し、歯肉に炎症を起こして赤くなったり、腫れたりします。
痛みなどの症状がはっきり出ないので、
痛みが出た頃には、既に進行していることが多いです。
歯周病の進行
<健康な状態>
歯周ポケットは、約1~2mmで、歯肉に炎症(発赤や腫脹)がない。
<歯肉炎>
歯肉のみに炎症が生じている状態で、歯周ポケットが約2~3mmになります。
原因のプラーク(磨き残しや細菌)や歯石を除去する必要がある状態。
<軽度の歯周炎>
歯肉炎が持続した結果、歯周組織に炎症が拡大した状態。
歯周ポケットが4~5mm程度。
歯槽骨に感染が広がり、骨が溶けはじめます。
歯周基本治療の中のスケーリング(以下記述)で、十分な改善が期待出来る状態。
<中等度の歯周炎>
感染や炎症が進行して、歯槽骨が元の高さの半分程度まで溶けている状態。
歯が揺れはじめ(動揺)、浮いた感じがすることもあります。
歯周基本治療のスケーリングとルートプレーニング、
場合によっては歯周外科治療が必要な状態。
<高度の歯周炎>
高度歯周炎になると、歯は顕著に動揺し、痛みが生じることもあります。
保存が不可能で、抜歯が適用されることもあります。
歯周病を発症させない・進行を抑制することに必要なのは、
「予防」、「早期発見・早期治療」、「定期的なメインテナンス」です。
ご自身だけで、コントロールすることは難しいので、
客観的な管理を歯科医院にて行い、大切な歯を守っていきましょう!
以下のことを意識して、歯周病のリスクを最小限にしましょう。
1.
ご自身にあったブラッシング方法や清掃器具を使用し、
毎食後にしっかり清掃を行う。
2.
治療が必要な場合は、早期に受診し、
治療後は定期的なメインテナンスを受けつつ、
予防処置・早期発見に努める。
治療の流れ
①歯周基本治療
↓
②歯周外科治療
↓
③メインテナンス
① 歯周基本治療について
1.歯周検査
→現状の確認を行い、必要な治療をするための検査
2.歯周基本治療
・不良修復物の除去
・噛み合わせの調整
・暫間固定
・プラークコントロール(=セルフケア+プロフェッショナルケア)
・スケーリング
・ルートプレーニング
不良修復物の除去は、
修復物の縁が合っていない、形態が適切でないなど、汚れが溜まりやすく、歯周病が進行するリスクがあるものは除去し、仮歯に置き換えます。
噛み合わせの調整は、
歯並びが複雑であったり、修復物の噛み合わせが高かったり、歯周病の進行によって歯が動揺し、不正な噛み合わせが生じてしまった場合に行います。
プラークコントロールは、
セルフケアとプロフェッショナルケアに分かれます。
セルフケアは、自宅での清掃
プロフェッショナルケアは、歯科医院での清掃のことです。
プロフェッショナルケアの中で、
歯科専用の機械や道具でのクリーニングのことをスケーリングと言います。(歯の表面や歯根に付着している歯垢や歯石を専用器具で除去すること)
また、ルートプレーニングと言われる表面の滑沢化も行います。
(歯根面を滑らかにし、細菌が付着しにくい環境にすること)
歯周基本治療によって、病状が改善すれば、メインテナンスに移ります。
② 歯周外科治療
歯周基本治療では病状が改善せず、
歯周ポケットが4mm以上残存している重度の歯周病の場合は、
外科処置にて改善を図ることもあります。
また、それに伴い、溶けてしまった骨を再生する治療することもあります。
再生治療は、可能な場合とそうでない場合があります。
歯周外科治療の目的
① 目では見えない深い歯周ポケット内を目視で切るようにし、直視下で感染源を除去するため
② 歯肉の幅や厚みを増やすため
③溶けた歯槽骨を再生するため
④ プラークコントロールしやすい環境にするため
⑤インプラント治療や義歯治療の前の環境整備のため
歯周外科手術は、
歯肉を切開し、歯根を直視を可能にし、
深い歯周ポケット内にできた血液成分を含む硬い歯石を除去でき、
歯槽骨が溶けるのを停止させるのにとても有効な方法です。
治療内容を聞くと怖いと思いますが、
徹底的に原因を取り除くには必要な治療です。
治療に際し、
麻酔や鎮痛薬などを使用し、痛みが生じにくいように実施いたします。
また、歯根面を清潔にした後に、
溶けた歯槽骨を再生させるための材料を使用することもできます。
基本的には、保険外の材料を使用します。
適応できる状態、またはその後の治療に必要な患者さんにご案内いたします。
適応できない例(当院での基準)
・抗凝血薬、抗凝固剤を使用している方
・糖尿病罹患患者
・喫煙者
・プラークコントロールが20%以上の方
これにより、病状が改善すれば、メインテナンスに移ります。
歯周治療Periodontal Treatment
治療前(正面2)
治療前(左側面)
治療前(右側面)
治療後(正面1)
治療後(正面2)
治療後(左側面)
治療後(右側面)
様々な種類の清掃器具や清掃材
歯科衛生士の拡大鏡(サージテル製)
全身疾患と歯周病の関連